不可能だと思わない限り、人間は決して敗北しない
── デール・カーネギー
人物
デール・カーネギー(1888–1955)。アメリカの著述家・話し方講師。 ミズーリ州の貧しい農家に生まれ、教員養成学校を出たあと、通信教育や食肉の営業で各地を回った。 ニューヨークの YMCA で始めた話し方講座が当たり、そこで集めた事例を本にまとめた。 1936 年の『人を動かす』(原題 How to Win Friends and Influence People)と 1948 年の『道は開ける』(原題 How to Stop Worrying and Start Living)が代表作。 自己啓発という分野を商売として成立させた最初期の人物。
出典
この言葉は日本の名言サイトにデール・カーネギーの言葉として広く載っている。 しかし、カーネギーのどの著作のどこにあるかは確認できなかった。 英語の原文にあたる一文も特定できず、英語圏の引用集にもカーネギーの名では見つからない。 帰属は未確認とする。
近い趣旨で名前がはっきり出るのはナポレオン・ヒルで、"No man is ever whipped until he quits in his own mind"(心の中で降りるまで、人は打ち負かされない)が『思考は現実化する』(1937 年)の言葉として引用集に並ぶ。 ただしこれも引用集の記載のみで、原著の該当箇所は確認していない。 カーネギーの言葉との関係も分からない。
日本でカーネギーの名が付きやすい経路として、『カーネギー名言集』(原題 Dale Carnegie's Scrapbook・ドロシー・カーネギー編)がある。 これはカーネギー自身の言葉集ではなく、カーネギーが手帳に書き留めた古今の他人の言葉を没後に編んだ本。 そこに載る言葉がカーネギー自身の発言として引かれることがある。 この一文がその本に収められているかどうかは確認していない(未確認)。
原文
原文は特定できなかった。
英語圏には「敗北は相手ではなく自分の心が決める」という趣旨の言い回しが 19 世紀末から複数記録されている。 そのうちのどれかがカーネギーの名で日本語に訳されて広まった可能性はあるが、対応づけられる一次資料は見つからなかった(未確認)。
語句の和訳
原文が特定できないため、流布している日本語の側を見る。
| 語句 | 意味 | メモ |
|---|---|---|
| 不可能 | できないこと | 英語なら impossible。この語が「できない」ではなく「不可能」と硬いのは翻訳調の名残 |
| 〜だと思わない限り | そう考えないうちは | 条件の否定。敗北の原因を外側ではなく本人の判断に置く言い方 |
| 人間 | 人 | 英語の man を「人間」と訳した形。英語圏の同種の言い回しはたいてい a man で始まる |
| 決して〜ない | 一度も〜ない | never にあたる強い否定 |
| 敗北 | 負けること | 英語の引用集では defeated(打ち負かされる)か whipped(鞭打たれる=完敗する)が使われる |
| 敗北しない | 負けと決まらない | 勝つとは言っていない。決着が付かない、という言い方 |
| (全体) | 負けを認めるまで負けではない | 主語は本人。外の状況ではなく本人の認定を決着の条件にしている |