弱者は決して許すことができない。許しは強者の態度である── ガンディー

弱者は決して許すことができない。許しは強者の態度である

── ガンディー

The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong.

人物

モーハンダース・カラムチャンド・ガンディー(1869–1948)。インドの弁護士・独立運動指導者。 ロンドンで法廷弁護士の資格を取り、南アフリカで 20 年あまりインド人差別と争うなかで、非暴力の抵抗(サティヤーグラハ)の手順を組み立てた。 帰国後はインド国民会議派を率い、塩の行進などの不服従運動でイギリス統治を揺さぶった。 単行の著作は多くないが、『インド自治(Hind Swaraj)』(1909 年)と自伝『真理を実験した私の物語』(1927–29 年)が読み継がれている。 「マハートマー(偉大な魂)」は敬称であって本名ではない。 1948 年、ヒンドゥー至上主義者に暗殺された。

出典

1931 年 3 月 26 日、カラチでの記者会見での受け答え。 週刊紙『ヤング・インディア』1931 年 4 月 2 日号に、秘書マハーデーヴ・デーサーイーの連載「週報(Weekly Letter)」からの抜粋として載った(『ガンディー全集』第 45 巻 345 ページ。1971 年刊の版による)。 全集の該当ページで原文を確認した。

背景がある。 3 日前の 3 月 23 日、独立運動の青年バガト・シングらが処刑された。 ガンディーは減刑を実現できず、カラチ到着時に若者たちから黒い布の花を渡されて抗議を受けている。 会見ではまず、その抗議についての受け止めを語った。 続けて記者から「千の殺人を犯した政府を許すのは賢明でないのではないか」と問われ、「許しが賢明でなかった例を一つも知らない」と答える。 さらに「インドほどイギリスに許しを示した国はないが」と重ねられ、「個人について真であることは国家についても真である。人は許しすぎるということがない」と述べたあとに、この 2 文が来る。

日本語訳のずれは小さい。 「態度」は原文 attribute で、本来は「もともと備わっている性質」を指す。ふるまい方より、その者の属性という含みが強い。

原文

The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong.

直訳。 弱い者は決して許すことができない。許しは強い者に備わった性質である。

語句の和訳

原語 和訳 メモ
the weak 弱い者たち 形容詞に the を付けて「…な人々」を表す。複数扱い
can never 決して…できない 能力の否定を never で強めた形
forgive 許す 罪や負債を免じる意。allow(許可する)とは別の語
forgiveness 許すこと forgive の名詞形。行為そのものを指す
the attribute of … …に備わった性質 attribute は「属性」。ふるまいではなく持ち物としての性質
the strong 強い者たち the weak と対になる形
One cannot forgive too much. 人は許しすぎるということがない 直前の発言。cannot … too ~ で「いくら…してもしすぎることはない」
impolitic 賢明でない 記者の問いに出た語。政策として得策でない、の意
What is true of individuals is true of nations. 個人について真であることは国家についても真である 直前の発言。be true of は「…に当てはまる」