ルータの物理ポートは 1 つでよい
VLAN 10 から VLAN 20 への通信を、ルータの物理ポート 1 つで通す形(Router on a Stick)を、サブインターフェースとタグの付け替えで 1 枚の図にする
目次
勉強会では、スイッチ 1 台に VLAN をいくつも同居させ、ルータ 1 台と 1 本の線でつなぎました。
資料の説明は、ルータの物理ポートをサブインターフェースに分け、それぞれにタグ番号と IP を設定する、という作業の並びだけでした。 同じ 1 本のケーブルを通信が 2 回通るのに、なぜ VLAN が混ざらないのかは書いてありません。 この記事は、VLAN 10 の A から VLAN 20 の D への通信を 1 枚の図で追います。
この連載は、ネットワークの言葉を 3 つの層に置いて読みます。 もの(物理か論理か)、結びつき(人が設定で付ける手動か、機器が学習する自動か、製造時に決まる固定か)、通信フロー(1 本の通信がそれらを順に通る道筋)の 3 つです。
登場するもの
サブインターフェース
論理のものです。 ルータの物理ポート 1 つの上に、設定で増やしたインターフェースです。 IP を持ち、ルーティングテーブルに行が載り、ARP もします。 物理ポートとの違いは 2 つで、自分専用のケーブルを持たないこと(親の物理ポートと共用する)と、見分ける印としてタグ番号が結び付いていることです。
各 VLAN のデフォルトゲートウェイ
サブインターフェースに付けた IP が、その VLAN の PC から見たデフォルトゲートウェイになります。 VLAN 10 の出入口が 192.168.10.1、VLAN 20 の出入口が 192.168.20.1 です。
ルータ側の物理ポート
トランクとして使います。 スイッチ側のポート T もトランクです。 1 本のケーブルに VLAN 10 と VLAN 20 の両方が乗ります。
結びつき
- サブインターフェース ⇄ VLAN 番号は手動です。設定でタグ番号を宣言します。
- サブインターフェース ⇄ IP は手動です。
- IP ⇄ ルーティングテーブルの行は自動です。IP を付けた時点で両 VLAN の行が載るので、手動の行は要りません。
- ルーティングテーブルとタグは結び付きません。行は「宛先ネットワーク → 出すインターフェース」までで、タグはサブインターフェース側の持ち物です。
通信フロー
A(VLAN 10・192.168.10.10)から D(VLAN 20・192.168.20.30)へ送るときです。
① A は宛先がネットワーク外なので、デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1 へ送ります。MAC はルータの物理ポートあてで、ARP は VLAN 10 の中で行われます。
② スイッチはトランクから出すのでタグ「10」を付けます。
③ ルータはタグ 10 を見て Gi8.10 で受け取り、宛先 IP をテーブルで探して Gi8.20 と決めます。MAC を D あてに付け替えます。
④ 同じ物理ポートから、今度はタグ「20」を付けて出します。
⑤ スイッチはタグ 20 を見て VLAN 20 のポートへ流し、タグを外して D に渡します。
同じ 1 本のケーブルを、ルータへ入るときはタグ 10、出ていくときはタグ 20 で 2 回通ります。 ルータの物理ポートが 1 つで足りるのは、通るたびにタグで VLAN を見分けられるからです。
図 6
図の上半分が構成図とフローの番号、下半分が各テーブルの推移と通信の中身の推移です。
図 4・図 5 との接続
図 4 では、タグはスイッチとスイッチの間で付き、アクセスポートで外れました。 この図では、その相手がスイッチではなくルータになります。 ルータは受け取った時点でタグを外し、出すときに別の番号のタグを付けます。
図 5 の ②「テーブルで一致する行を探す」は、この図の ③ と同じ動きです。 違うのは出口が物理ポート(Gi1)ではなくサブインターフェース(Gi8.20)だということだけです。 ルータから見れば、サブインターフェースは物理ポートと同じ顔をしています。 タグの付け外しはインターフェース側で行われ、経路を探す前と後に済みます。
未検証・注意
- 図の注にある「サブインターフェースは既定で物理ポートと同じ MAC を使う」は、一次資料で確認していないので未検証です。この前提のため、図では両 VLAN の MAC テーブルに同じ MAC が載っています。
- ARP は VLAN ごとに別々に行われます。① は VLAN 10 の中、③ は VLAN 20 の中です。VLAN をまたいで ARP は流れません。
- VLAN 間を通す機器は、ルータのほかに L3 スイッチでもかまいません(出典のページに両方が挙がっています)。この図はルータ 1 台の形だけを扱います。
出典
- 勉強会での本人の観察(2026-09-13 実機ハンズオン。資料は非公開)
- インフラエキスパート: VLAN 間ルーティング — L2 スイッチだけでは VLAN 間の通信ができず、ルータや L3 スイッチが要る。ルータの物理インターフェースを論理的に分割してサブインターフェースを作り、VLAN ごとに IP アドレスを設定する
- インフラエキスパート: VLAN - アクセスポート/トランクポート — IEEE 802.1Q のタグは送信元 MAC アドレスとタイプフィールドの間に 4 バイト差し込まれる
関連
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ネットワーク_INDEX — 連載の目次
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連載の入口: ネットワーク_00_3層で言葉を置く(
/notes/nw-basics-00-three-layers) -
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/notes/nw-basics-05-static-route) -
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/notes/nw-basics-07-internet)
この記事の校閲記録
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段落 32 のうち出典つき 13・出典なし 19
v1 1 件
AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決
ルータの物理インターフェースを論理的に分割してサブインターフェースを作る形(Router on a Stick)と、VLAN 間の通信にはルーティングする機器が要ることをインフラエキスパートの VLAN 間ルーティングのページで確認した。タグの位置と 4 バイトは同サイトのトランクのページで確認した。図の注にある『サブインターフェースは既定で物理ポートと同じ MAC を使う』は一次資料で未確認。校正チェックリストを通し、『手順』と『フロー』の表記、差込口を指す語が『物理ポート』で統一されているかを機械検査した。守秘: 実名・社名・会場名・地名・金額なし
参考文献
- 二次インフラエキスパート: VLAN 間ルーティング参照 2026-09-14
- 二次インフラエキスパート: VLAN - アクセスポート/トランクポート参照 2026-09-14
更新履歴
- 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
- 公開: 連載「ネットワーク基礎」の土台 11 本(入口・図 1〜7・補 1〜3)と目次
機械可読の記録
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