ネットワークの言葉は、もの・結びつき・通信フローの 3 層に置く
実機を触っても腹落ちしなかった言葉を、もの(物理と論理)、結びつき(手動と自動と固定)、通信フローの 3 層に置き直す連載の入口。共通の構成と番地、読む順番をここにまとめる
目次
実機を触る勉強会に出ました。設定は入り、ping も通りました。それでも終わってみると、自分の言葉で説明できません。
つまずいていたのは原理ではなく、その前の言葉でした。スタティックルートとは何か。そもそも経路の設定とは何か。VLAN は物理ポートとどう対応するのか。トランクとは何か。VPN と IPsec と IKE はどういう関係か。
この連載は、その言葉を置き直す作業の記録です。図 1 枚につき記事 1 本で進めます。
腹落ちしなかった理由
自分で言葉にすると、こうなりました。
ひとつは「ただあるだけ(定義)と作用するところが違うのでわかりにくい」ことです。定義だけを読むと「それで何が起きるのか」が残ります。動きだけを読むと「それは何なのか」が残ります。
もうひとつは「定義は物理と論理があり、紐づくのか紐づかないのかわからない」ことです。物理と論理の結びつけ方は言葉ごとに違います。人が設定で付けるもの、機器が自分で付けるもの、そもそも結び付かず人が揃えるものがあります。
3 層に置く
もの
物理(箱、物理ポート、ケーブル、MAC アドレス)と、論理(VLAN、IP のネットワーク、インターフェース、各テーブル)に分けます。新しい言葉が出てきたら、まずどちらかを決めます。
結びつき
物理と論理が何で結び付くかを、手動(人が設定で付ける)、自動(機器が学習して育てる)、固定(製造時に決まっている)の 3 つで書きます。結び付かず人が揃えるだけのものは、そう書きます。
通信フロー
1 本の通信が、これらを順に通ります。各図では番号(①②…)を振り、どの「もの」とどの「結びつき」がその番号で効くのかを示します。
言葉ごとに、この 3 つが埋まれば説明が閉じます。埋まらないところが、まだ分かっていないところです。
呼び分けも先に決めておきます。差込口そのものは物理ポート、設定を付ける対象はインターフェース(Cisco のガイドではスイッチポート、ルーテッドポート、SVI などに分かれます)、TCP と UDP の番号は必ずポート番号と呼びます。
全部の図で共通の構成と番地
- 支店の VLAN 10 は 192.168.10.0/24(ゲートウェイが .1、PC-A が .10、PC-B が .20)。VLAN 20 は 192.168.20.0/24(ゲートウェイが .1、PC-D が .30、PC-E が .40)
- データセンターは 192.168.3.0/24(ゲートウェイが .1、PC-C が .10)。PC-C はいつも「ルータの向こう側の相手」です
- ルータ 1 とルータ 2 の直結は 172.16.12.0/30、予備線は 172.16.13.0/30
- 外側のグローバル IP はルータ 1 が 203.0.113.10、ルータ 2 が 198.51.100.20。どちらも RFC 5737 が文書用に予約した番地です
- MAC アドレスは「MAC A」「MAC R1-Gi0」の形で呼びます。末尾が .1 のアドレスはゲートウェイ専用です
VLAN 20 を 192.168.20.0/24 へ振り直すのは、スイッチが 2 台になる図 4 からです。図 3 の時点では、VLAN 20 に入れた PC-D も 192.168.10.30 のまま置いてあります。分断しただけで番地を割り直していない状態を、そこで見せるためです。
読む順番
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ネットワーク_01_土台の3層(/notes/nw-basics-01-baseline)— PC とスイッチとルータが 1 台ずつ。流れる前の「もの」と「結びつき」
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ネットワーク_02_同じネットワークの中(/notes/nw-basics-02-same-network)— 1 本流して、ARP テーブルと MAC アドレステーブルが育つ
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ネットワーク_03_VLAN(/notes/nw-basics-03-vlan)— 同じ構成のまま、流す範囲を絞る
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ネットワーク_04_トランクとタグ(/notes/nw-basics-04-trunk)— トランクとタグ。1 本のケーブルに複数の VLAN を通す
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ネットワーク_05_行きと帰り(/notes/nw-basics-05-static-route)— スタティックルート。行きと帰りは別々に決まる
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ネットワーク_06_VLAN間ルーティング(/notes/nw-basics-06-inter-vlan)— VLAN 間ルーティング。ルータの物理ポートは 1 つでよい
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ネットワーク_07_インターネットを挟む(/notes/nw-basics-07-internet)— インターネットを挟むと何が変わるか
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ネットワーク_07a_フローティングスタティック(/notes/nw-basics-07a-floating-static)— 補 1 フローティングスタティック
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ネットワーク_07b_VRF(/notes/nw-basics-07b-vrf)— 補 2 VRF
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ネットワーク_07c_CDPとLLDP(/notes/nw-basics-07c-cdp-lldp)— 補 3 CDP と LLDP
図 8 以降(NAT・ACL・GRE・IPsec・IKE・OSPF・STP・EtherChannel・VRRP・DHCP・MAB/RADIUS・無線 LAN・IPv6・SDN・ファイアウォール・リモートアクセス VPN・端末の認証)は順次公開します。
3 層に収まらないもの
ケーブルと物理ポート(光と銅、PoE、速度と duplex の不一致)、構成の型(2 層と 3 層)、IOS のモード地図、QoS の工程は、1 本の通信を追う形では並べにくいものです。3 層の型に無理に乗せず、別枠の図として分けて書きます。
CCNA との関係
この連載は CCNA 200-301 の範囲を網羅するものではなく、土台の言葉を置くためのものです。公式の試験範囲(v1.1)の本文を抽出して検索すると、EIGRP、GRE、BGP はいずれも 1 回も出てきません。一方で、ルーティングテーブルの読み方、VLAN とトランク、inside source NAT、access control lists、IPsec、first hop redundancy protocols は項目として並んでいます。配点は 1.0 ネットワーク基礎が 20%、2.0 ネットワークアクセスが 20%、3.0 IP コネクティビティが 25%、4.0 IP サービスが 10%、5.0 セキュリティ基礎が 15%、6.0 自動化とプログラマビリティが 10% です。
未検証・注意
- 試験範囲の PDF は公式サイトから取得し、本文のテキストを自分で抽出して語を検索しました。抽出できなかった図や表があれば、そこに書かれた語は数に入っていません。
- 勉強会の配布資料は非公開のため、設定値や画面は引用せず、一般化した構成で描いています。
出典
- 勉強会での本人の観察。2026-09-13 の実機ハンズオン(資料は非公開)
- Cisco: CCNA Exam v1.1 (200-301) Exam Topics — 大項目と配点、各項目の文言
- RFC 5737: IPv4 Address Blocks Reserved for Documentation — 198.51.100.0/24 と 203.0.113.0/24 は文書用
- Cisco: Catalyst 3560 スイッチ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド インターフェイス特性の設定 — スイッチポート、ルーテッドポート、SVI の区分
関連
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ネットワーク_INDEX — 連載の目次
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ネットワーク_01_土台の3層 — 連載の 1 本目
この記事の校閲記録
誰が・いつ・どの版の・どの段落を・何の観点で見て、何と言ったかを全件そのまま出す(追記のみ・削除しない)。
段落 32 のうち出典つき 13・出典なし 19
v1 1 件
AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決
CCNA 200-301 v1.1 の公式 PDF を取得し、本文のテキストを自分で抽出して検索した。EIGRP・GRE・BGP は 0 件、配点(1.0 が 20%、2.0 が 20%、3.0 が 25%、4.0 が 10%、5.0 が 15%、6.0 が 10%)と 3.5 first hop redundancy protocols・4.1 inside source NAT・5.5 IPsec・5.6 access control lists の項目は本文で確認した。RFC 5737 の 3 ブロック(192.0.2.0/24・198.51.100.0/24・203.0.113.0/24)も原文で確認した。図 4 以降の記事へのリンクは実際の slug と突き合わせた。守秘検査(人名、社名、会場名、地名、連絡先の機械検査)で該当なし
参考文献
- 二次Cisco: CCNA Exam v1.1 (200-301) Exam Topics参照 2026-09-14
- 二次RFC 5737: IPv4 Address Blocks Reserved for Documentation参照 2026-09-14
- 二次Cisco: Catalyst 3560 スイッチ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド インターフェイス特性の設定参照 2026-09-14
更新履歴
- 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
- 公開: 連載「ネットワーク基礎」の土台 11 本(入口・図 1〜7・補 1〜3)と目次
機械可読の記録
- article.json(記事の正本)
- reviews.json(校閲記録)
- blocks.json(ブロック一覧)