今どこにいるかは、プロンプトの末尾で分かる
ユーザーモードから対象ごとの設定モードまで、Cisco IOS の 4 段を 1 枚の地図にする。running-config と startup-config の違いと、実機で毎回なぞる型も置く
目次
実機をさわると、同じ言葉を打っても場所によって通ったり弾かれたりします。
どこで何が打てるかは、1 本の通信が通る道筋の話ではありません。 機器に話しかける側の地図なので、別枠の 1 枚にまとめます。
この連載は、ネットワークの言葉を 3 つの層に置いて読みます。 もの(物理か論理か)、結びつき(人が設定で付ける手動か、機器が学習する自動か、製造時に決まる固定か)、通信フロー(1 本の通信がそれらを順に通る道筋)の 3 つです。
登場するもの
ユーザーモード
電源を入れて最初にいる場所です。
プロンプトは > で終わり、打てるのは特権モードで打てる言葉の一部です。
enable で 1 つ上へ上がります。
特権モード
プロンプトが # で終わります。
設定の一覧を見る言葉と、保存や再起動の言葉はここで打ちます。
disable で戻り、configure で設定モードへ入ります。
グローバル設定モード
プロンプトが (config)# になります。
機器そのものに効く設定(名前を付ける、経路を書く、VLAN を作る)を打つ場所です。
ここから対象を指定して、下の段へ降ります。
サブ設定モード
プロンプトが (config-if)# や (config-line)# のように、対象の名前入りになります。
インターフェースの設定モードへは interface、コンソールや vty の設定モードへは line vty か line console で入ります。
exit で 1 つ上へ、end か Ctrl-Z で特権モードまで戻ります。
2 つの設定ファイル
running-config は、いま動いている設定です。RAM にあります。
startup-config は、起動時に読む設定です。NVRAM にあります。
打った設定は running-config に入るだけなので、copy running-config startup-config で写さずに再起動すると消えます。
vlan.dat
VLAN の一覧は、設定ファイルとは別の vlan.dat というファイルに入っています。 Cisco の文書は、これを NVRAM 上の別ファイルと書き、誤って消したまま再起動すると、その機器にあった VLAN がすべて失われると書いています。
別枠 C の図
図の上から下が 4 つのモードの段で、右側が上り下りの言葉、下半分が 2 つの設定ファイルと読み方のコツです。
実機でなぞる型
勉強会では、毎回この順でなぞりました。 1 台を触り始めてから、通信が通るところまでを 1 本にした型です。
- 特権モードから
configure terminalで設定モードへ入る hostnameで機器に名前を付ける(どの機器を触っているかがプロンプトで分かる)no ip domain lookupを打つline console 0へ降りてlogging synchronousを打ち、endで戻るinterfaceで口を指定し、ip addressを付け、no shutdownで開けるendで戻り、show ip interface briefで up/up になったか見るpingで相手まで届くか見る
3 番の no ip domain lookup は、打ち間違いを待たされないためです。
DNS の問い合わせが有効なままだと、機器は知らない言葉を「telnet で行きたい相手の名前」と受け取り、Translating..... と表示して名前を引きに行きます。
この動きを止めると、打ち間違いはその場でエラーとして返ってきます。
4 番の logging synchronous は、機器が勝手に出すメッセージと、入力中の行を混ぜないための設定です。
読み方のコツ
- プロンプトの末尾を見ます。
>は見るだけ、#は特権、(config)#は機器全体、(config-xx)#は対象ごとです。 - 設定モードのまま一覧を見たいときは、頭に
doを付けます(do show ip route)。ただしdo configure terminalは打てません。 - 打ち消しは頭に
noを付けます。 ?を打つと、その場所で打てる言葉の一覧が出ます。
本編との接続
本編の記事が「手動」と書いた結びつきは、この地図のどこで打つかが決まっています。
ネットワーク_05_行きと帰り(/notes/nw-basics-05-static-route)のスタティックルートは (config)#、ネットワーク_06_VLAN間ルーティング(/notes/nw-basics-06-inter-vlan)のサブインターフェースは (config-subif)# で、打つ場所が違うだけで running-config に入るところまでは同じです。
未検証・注意
- 図と本文のプロンプトは
Router>Router#の形で書いています。出典にした Cisco の表はSwitch>Device#の表記で、末尾の記号は同じです。 - 図の注にある「erase startup-config と reload だけでは VLAN の一覧が消えないので、delete flash:vlan.dat も打った」という読みは、vlan.dat が別ファイルであることから導いたものです。この 2 つの言葉の組み合わせについて書いた Cisco の文は読んでいないので、未検証です。
- vlan.dat の置き場所は機種で違います。出典の文書は、機種ごとに
flash:const_nvram:cat4000_flash:と書き分けています。 - Cisco の文書は、vlan.dat を手で消すと VLAN のデータベースに食い違いが出ることがあると注意しています。
- 図と本文が挙げたモードは 4 段だけです。IOS にはこれ以外の設定モードもあります。
出典
- 勉強会での本人の観察(2026-09-13 実機ハンズオン。資料は非公開)
- Cisco: Using the Command-Line Interface(Catalyst 9200) — ユーザー EXEC は「Switch>」、特権 EXEC は「While in user EXEC mode, enter the enable command.」「Device#」、グローバル設定は「Device(config)#」「To exit to privileged EXEC mode, enter exit or end, or press Ctrl-Z.」、インターフェース設定は「Device(config-if)#」、ライン設定は「specify a line with the line vty or line console command」「Device(config-line)#」、「You can enter a question mark (?) at the system prompt to display a list of commands available for each command mode.」
- Cisco: Managing Configuration Files — 「The running configuration is stored in RAM.」「the startup configuration is stored in nonvolatile random-access memory (NVRAM)」「save the running configuration file to the startup configuration using the copy running-config startup-config EXEC command」
- Cisco: Maintain VLAN.DAT File on Catalyst Switches — 「This VLAN database is in the form of a separate file in NVRAM called the vlan.dat file」「If the vlan.dat file is deleted accidently and the switch gets reloaded, all the VLANs that were available on the switch are lost.」
- Cisco: EXEC Commands in Configuration Mode — 設定モードから
doを付けて show・clear・debug を打てる。do configure terminalは打てない - Cisco: Prevent Domain Translation Messages after an Invalid Command Is Entered on a Router — 「the router believes that this is the host name of a device that the user attempts to reach via telnet」「the message 'Translating..... domain server (255.255.255.255)' appears in the console」
- Cisco: logging synchronous(Configuration Fundamentals Command Reference) — 「synchronize unsolicited messages and debug output with solicited Cisco IOS software output and prompts」
関連
- ネットワーク_INDEX — 連載の目次
- 連載の入口: ネットワーク_00_3層で言葉を置く(
/notes/nw-basics-00-three-layers) - 前の別枠: ネットワーク_別枠B_構成の型(
/notes/nw-basics-extra-b-topology) - 次の別枠: ネットワーク_別枠D_QoSの工程(
/notes/nw-basics-extra-d-qos)
この記事の校閲記録
誰が・いつ・どの版の・どの段落を・何の観点で見て、何と言ったかを全件そのまま出す(追記のみ・削除しない)。
段落 34 のうち出典つき 16・出典なし 18
v1 1 件
AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決
4 つのモードのプロンプト(Switch>/Device#/Device(config)#/Device(config-if)#/Device(config-line)#)と、enable・configure・exit・end・Ctrl-Z での行き来、? で打てる語の一覧が出ることは Catalyst 9200 のコマンドリファレンスで確認した。running-config が RAM・startup-config が NVRAM にあることと copy running-config startup-config は Managing Configuration Files、vlan.dat が NVRAM 上の別ファイルで削除すると VLAN が失われることは Maintain VLAN.DAT File、設定モードから do を付けて EXEC のコマンドを打てることと do configure terminal は打てないことは EXEC Commands in Configuration Mode(URL を再取得して本文を確認)、打ち間違いが DNS の問い合わせになる挙動と no ip domain-lookup で止まることは Prevent Domain Translation Messages、logging synchronous が非同期のメッセージと入力中の行を混ぜないことはコマンドリファレンスで確認した。図のプロンプトは Router> 表記で、出典の表は Switch>/Device# 表記である違いを本文に書いた。erase startup-config と reload だけで VLAN の一覧が残るかどうかは出典で直接確認できず未検証として書いた。校正チェックリスト(英訳しての通読・結論の先取り・藁人形・未定義語の初出・比喩・体言止めの混入・表記揺れ)を通した。守秘: 実名・社名・会場名・地名・金額なし
参考文献
- 二次Cisco: Using the Command-Line Interface(Catalyst 9200)参照 2026-09-14
- 二次Cisco: Managing Configuration Files参照 2026-09-14
- 二次Cisco: Maintain VLAN.DAT File on Catalyst Switches参照 2026-09-14
- 二次Cisco: EXEC Commands in Configuration Mode参照 2026-09-14
- 二次Cisco: Prevent Domain Translation Messages after an Invalid Command Is Entered on a Router参照 2026-09-14
- 二次Cisco: logging synchronous(Configuration Fundamentals Command Reference)参照 2026-09-14
更新履歴
- 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
- 公開: 連載「ネットワーク基礎」別枠 A〜D(ケーブルと物理ポート・構成の型・IOS のモード地図・QoS の工程)
機械可読の記録
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