弱者は決して許すことができない。許しは強者の態度である── ガンディー
ネットワーク

VLAN が変えるのは、全員あてを流す範囲とテーブルの区切りだけ

図 2 と同じ箱とケーブルのまま、物理ポートに VLAN 番号を付けるとどのフローが変わるのかを追い、VLAN を「もの」「結びつき」「通信フロー」の 3 層に置く

ぴぐおv1人の校閲なし(AI のみ)訂正なし
ネットワークvlanスイッチconcept
目次

図 2 では、全員あての問いかけがスイッチの全ポートへ流れ、PC-B にも PC-D にも届きました。ここで PC-D だけを別の VLAN に置きます。

箱もケーブルも図 2 と同じです。変わるのは、物理ポートに付けた VLAN 番号だけです。

この連載は、ネットワークの言葉をもの(物理と論理)、結びつき(手動、自動、固定)、通信フロー(1 本の通信がこれらを順に通る流れ)の 3 層に置いています。VLAN もこの 3 つで置けます。

登場するもの

VLAN 番号

VLAN 番号は論理のものです。スイッチの中にあります。全員あてが届く範囲を、設定で分けたものです。

アクセスポート

アクセスポートは、1 つの VLAN だけに所属する物理ポートの使い方です。PC をつなぐ口がこれにあたります。

分ける理由は、物理的に分けるときと同じです。ブロードキャストの届く範囲を狭めることと、間にルータを置いて制御することの 2 つです。物理的に分ければスイッチの台数と配線と席替えの手間が増えますが、VLAN なら 1 台を共有したまま、設定だけで所属を変えられます。

結びつき

物理ポートと VLAN 番号は手動で結び付きます。人がポートごとに番号を設定します。

MAC アドレステーブルと VLAN 番号は自動で結び付きます。スイッチは覚えた行を VLAN ごとに分けて持ちます。

結果として、箱 1 つの中に、ケーブルでつながっていない 2 台のスイッチがあるのと同じ状態になります。

通信フロー

PC-A から PC-B への通信(どちらも VLAN 10)で、変わるのは ② と ⑤ だけです。

① PC-A が「192.168.10.20 の MAC は?」を全員あてに送ります。ここは図 2 と同じです。

② スイッチは、PC-A と同じ VLAN 10 のポートだけへ流します。PC-B には届き、VLAN 20 の PC-D には届きません。

③ PC-B だけが PC-A に返します。ここも図 2 と同じです。

④ VLAN 10 の表に 2 行が育ちます。VLAN 20 の表は空のままです。

⑤ PC-A が送ったフレームを、スイッチは VLAN 10 の表の中だけで探し、ポート 2 だけへ出します。

PC-A から PC-D への通信は、② で問いかけが届かないので始まりません。

図 3

上が構成図で、スイッチの中が VLAN 10 と VLAN 20 の 2 つに分かれています。下の帯は左が各表の推移、右が通信の中身の推移です。

VLAN あり:A → B の通信(A・B は VLAN 10、D は VLAN 20) 箱もケーブルも図 2 と同じ。変わったのは物理ポートに付けた VLAN 番号(手動)だけ スイッチ VLAN 10 テーブル: A → 1、B → 2 VLAN 20 テーブル: 空 1 2 3 PC-A 192.168.10.10 MAC A PC-B 192.168.10.20 MAC B PC-D 192.168.10.30 MAC D 1 2 ② D には流さない 3 3 5 5 フロー(変わったのは ② と ⑤ だけ) ① A が「192.168.10.20 の MAC は?」を 全員あてに送る(ARP) =同じ ② A と同じ VLAN 10 のポートだけへ流す → B には届く。D(VLAN 20)には届かない ③ B だけが A に返す =同じ ④ ここまでで育ったテーブル(VLAN 10 の 2 行) ⑤ VLAN 10 のテーブルの中だけで探し、 ポート 2 だけへ出す A → D は、② で D に問いかけが届かないので始まらない 増えたもの もの:VLAN 番号(論理・スイッチの中) 結びつき:物理ポート ⇄ VLAN 番号(手動)、MAC アドレステーブル ⇄ VLAN 番号(自動) 箱 1 つの中に、ケーブルでつながっていない 2 台のスイッチがあるのと同じ状態 この時点では D も同じ 192.168.10.0/24 のまま。分断しただけで番地は割り直していない。 VLAN をまたいで通す(図 6)には VLAN ごとに別のネットワークへ振り直す。振り直した番地は図 4 から使う 各テーブルの推移(○番のフローで追加された行。青字) スイッチ: MAC テーブル(VLAN 10) ① 追加: MAC A → ポート 1 ③ 追加: MAC B → ポート 2 スイッチ: MAC テーブル(VLAN 20) (空)このフローでは何も通らない PC-A: ARP テーブル ③ 追加: 192.168.10.20 → MAC B PC-B: ARP テーブル ① 追加: 192.168.10.10 → MAC A PC-D: ARP テーブル (空)② が届かないので何も学ばない 通信の中身の推移(フローごとのフレーム/パケット) ① A → スイッチ:ARP 要求(全員あて) 宛先 MAC ff:ff:ff:ff:ff:ff(全員) 送信元 MAC MAC A 知りたい IP 192.168.10.20 自分の IP 192.168.10.10 データ ARP 要求 ARP は IP パケットではない(Ethernet の種類の欄が IP とは別の値)。中身が IP を扱うので同じ並びで描いている。ルータは ARP を中継しない ② スイッチ → B だけ 中身は ① と同じ。流す先が VLAN 10 のポートに絞られただけ ③ B → スイッチ → A:ARP 応答 宛先 MAC MAC A 送信元 MAC MAC B 相手の IP 192.168.10.10 自分の IP 192.168.10.20 データ ARP 応答 ⑤ A → スイッチ → B:本番 宛先 MAC MAC B 送信元 MAC MAC A 宛先 IP 192.168.10.20 送信元 IP 192.168.10.10 データ ping フレーム=全部。ただしスイッチが見るのは MAC とタグの部分だけ パケット=この部分。ルータはここ(IP)を見る アクセスポートの区間ではタグは付かない。図 2 と通信の中身は同じ。変わったのはスイッチの流す範囲とテーブルの区切り 実機の MAC テーブルは 1 枚の表に VLAN 番号の列があり、探すときはその列も一致させる。ここでは分かりやすさのため VLAN ごとに分けて描いている

図 2・図 4 との接続

図 2 との違いは、スイッチの流す範囲と表の区切りだけです。通信の中身は図 2 と変わりません。アクセスポートの区間では、どの VLAN のものかを示す印は付かないからです。

次の図 4 では、VLAN 10 の PC がスイッチ 2 台にまたがる場合を見ます。1 本のケーブルに複数の VLAN を通すため、そこで初めて印(タグ)が出てきます。

未検証・注意

  • この時点では PC-D も 192.168.10.0/24 のままです。分断しただけで、番地は割り直していません。VLAN をまたいで通すには、VLAN ごとに別のネットワークへ振り直します。振り直したあとの番地(VLAN 20 は 192.168.20.0/24)は次の図 4 から使い、VLAN をまたいで実際に通すのは VLAN 間ルーティングの図 6 です。
  • 実機の MAC アドレステーブルは 1 枚の表に VLAN 番号の列があり、探すときはその列も一致させます。図では分かりやすさのため VLAN ごとに分けて描いています。
  • 勉強会の配布資料は非公開のため、設定値や画面は引用せず、一般化した構成で描いています。

出典

関連

この記事の校閲記録

誰が・いつ・どの版の・どの段落を・何の観点で見て、何と言ったかを全件そのまま出す(追記のみ・削除しない)。

段落 33 のうち出典つき 12・出典なし 21

v1 2 件
  • AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決

    出典 3 件を WebFetch で取得して確認した。VLAN が論理的に LAN セグメントを分けブロードキャストを VLAN ID ごとに分割すること、アクセスポートが単一の VLAN に属すること、VLAN 間の通信に L3 機器が要ることを確認した。図の PC-D は 192.168.10.30 のままで、SPEC の VLAN 20=192.168.20.0/24 への振り直しは図 6 からである点を本文に明記。使える VLAN 番号の範囲とタグの形式は本記事では扱わず未検証のまま残した(図 4 の範囲)。守秘検査(人名、社名、会場名、地名、連絡先の機械検査)で該当なし

  • AIAI (claude-fable-5) が 編集未解決

    校閲で、VLAN 20 の番地の振り直しが図 6 からではなく図 4 から使われていることを確認し、本文と図の注記を「図 4 から」に修正した(前の記録の『図 6 から』は誤り)

参考文献

更新履歴

  • 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
  • 公開: 連載「ネットワーク基礎」の土台 11 本(入口・図 1〜7・補 1〜3)と目次

機械可読の記録