弱者は決して許すことができない。許しは強者の態度である── ガンディー
ネットワーク

タグが付くのはトランクの区間だけ

スイッチ 2 台にまたがる VLAN 10 の通信を 1 本のケーブルで運ぶとき、タグがどこで付いてどこで外れるのかを、①から④のフローで追う

ぴぐおv1人の校閲なし(AI のみ)訂正なし
ネットワークvlanトランクconcept
目次

スイッチを 2 台に増やし、同じ VLAN の PC を別々のスイッチにつなぐと、2 台の間をどう渡すかという問いが残ります。

勉強会で配られた資料の説明は「トランクポートは複数の VLAN を運ぶ。どの VLAN かを識別するタグを付ける」の 2 行でした。 タグがどこで付き、どこで外れるのかは書いてありません。 この記事は、A から B への 1 本の通信を 1 枚の図で追います。

この連載は、ネットワークの言葉を 3 つの層に置いて読みます。 もの(物理か論理か)、結びつき(人が設定で付ける手動か、機器が学習する自動か、製造時に決まる固定か)、通信フロー(1 本の通信がそれらを順に通る道筋)の 3 つです。

登場するもの

トランクポート

物理ポートを「複数の VLAN を通す」設定で使ったものです。 PC をつなぐアクセスポート(1 つの VLAN だけに所属する物理ポート)と対になります。

タグ

論理のものです。 通信 1 つずつに差し込む 4 バイトで、中に VLAN 番号が入ります。 規格は IEEE 802.1Q で、宛先 MAC・送信元 MAC のうしろに差し込まれます。

ネイティブ VLAN

トランクでタグを付けないまま通る VLAN です。 既定は VLAN 1 で、両端のスイッチで同じ番号にそろえます。

結びつき

  • 物理ポート ⇄ トランク設定は手動です。人が「このポートはトランク」と決めます。
  • 通信 ⇄ タグは自動です。スイッチがトランクポートから出すときに付け、アクセスポートから出すときに外します。
  • 通す VLAN の一覧は、初期状態では全部の VLAN を通す設定です。人が絞れます。
  • 通す VLAN の一覧は自動ではそろいません。各スイッチがトランクポートの設定として自分の分を持つので、人が両側を一致させます。
  • その VLAN が両方のスイッチに作られていることも要ります。受け側に無ければ流す先がありません。

通信フロー

A と B はどちらも VLAN 10 で、別々のスイッチにつながっています。

① A はタグなしで送ります。PC はタグを知りません。

② スイッチ 1 は「ポート 1 = VLAN 10」から来たので VLAN 10 と扱い、トランクポートから出すときにタグ「10」を付けます。

③ スイッチ 2 はタグ「10」を読んで VLAN 10 と扱い、VLAN 10 のテーブルで MAC B を探してポート 1 へ出します。VLAN 20 の D には流しません。

④ アクセスポートから出すときにタグを外します。B はタグなしで受け取ります。

タグが付いているのはトランクの区間だけです。 トランクが無ければ、VLAN の数だけスイッチ間にケーブルが要ります。

図 4

図の上半分が構成図とフローの番号、下半分が各テーブルの推移と通信の中身の推移です。

トランク:スイッチ 2 台をまたぐ A → B の通信(A・B は VLAN 10、E・D は VLAN 20) VLAN 10 と VLAN 20 の通信を、1 本のケーブルで運ぶ。どちらの VLAN かは、通信 1 つずつに付けた「タグ」で見分ける スイッチ 1 ポート 1 は VLAN 10、ポート 2 は VLAN 20 ② VLAN 10 の通信にタグ「10」を付けて T から出す スイッチ 2 ③ タグ「10」を読み、VLAN 10 のポートだけへ ポート 1 は VLAN 10、ポート 2 は VLAN 20 1 2 1 2 T T トランクポート トランクポート ケーブル 1 本 PC-A 192.168.10.10 MAC A PC-E 192.168.20.40 MAC E PC-B 192.168.10.20 MAC B PC-D 192.168.20.30 MAC D 1 タグなし 2 タグ「10」付き 4 タグを外して渡す D には流さない フロー ① A はタグなしで送る(PC はタグを知らない) ② スイッチ 1 は「ポート 1 = VLAN 10」から来たので VLAN 10 と扱い、トランクポートから出すときタグ「10」を付ける ③ スイッチ 2 はタグ「10」を読んで VLAN 10 と扱い、VLAN 10 のポートだけに流す ④ アクセスポートから出すときタグを外す。B はタグなしで受け取る 増えたもの もの:トランクポート(物理ポートを複数 VLAN 用に使う設定)・タグ(論理・通信 1 つずつに付く VLAN 番号の札) 結びつき:物理ポート ⇄ トランク設定(手動)、通信 ⇄ タグ(自動・スイッチが付け外し) タグの規格は IEEE 802.1Q。宛先 MAC・送信元 MAC のうしろに 4 バイト差し込み、その中に VLAN 番号が入る。使える番号は 1〜4094(0 と 4095 は規格上使えない) タグが付くのはトランクの区間だけ。トランクでも 1 つだけタグを付けない VLAN(ネイティブ VLAN)を決められるが、この図では全部タグを付ける設定として描く 各テーブルの推移(○番のフローで追加された行。青字) 前提: A と B の ARP は済んでいて、その ARP が両スイッチを通ったので両方の MAC も学習済み(この図の主題はタグの付け外し) スイッチ 1: MAC テーブル(VLAN 10) 前提: MAC A → ポート 1 前提: MAC B → ポート T スイッチ 2: MAC テーブル(VLAN 10) 前提: MAC A → ポート T 前提: MAC B → ポート 1 PC-A: ARP テーブル 前提: 192.168.10.20 → MAC B PC-B: ARP テーブル 前提: 192.168.10.10 → MAC A 通信の中身の推移(フローごとのフレーム/パケット) ① A → スイッチ 1(アクセス区間・タグなし) 宛先 MAC MAC B 送信元 MAC MAC A 宛先 IP 192.168.10.20 送信元 IP 192.168.10.10 データ ping フレーム=全部。ただしスイッチが見るのは MAC とタグの部分だけ パケット=この部分。ルータはここ(IP)を見る ② スイッチ 1 → スイッチ 2(トランク区間・タグ 10 を挿入) 宛先 MAC MAC B 送信元 MAC MAC A タグ(VLAN 番号) 10 宛先 IP 192.168.10.20 送信元 IP 192.168.10.10 データ ping ③ スイッチ 2 の中 タグ 10 を読んで VLAN 10 と判断。VLAN 10 のテーブルの MAC B → ポート 1 を見て、そこだけへ出す ④ スイッチ 2 → B(アクセス区間・タグを除去) 宛先 MAC MAC B 送信元 MAC MAC A 宛先 IP 192.168.10.20 送信元 IP 192.168.10.10 データ ping タグは MAC の部分と IP の部分の間に挟まる 4 バイト。トランクの区間だけ付き、宛先・送信元は変わらない

図 3・図 5 との接続

図 3 はスイッチ 1 台の中の話でした。 VLAN は、全員あてを流す範囲を同じ VLAN のポートだけに絞ります。 この図ではスイッチが 2 台になり、その範囲が箱をまたぎます。 またぐ区間だけタグが付き、PC 側に出るときには外れるので、PC から見える通信は図 3 と変わりません。

次の図 5 では、スイッチではなくルータが 2 台になります。 そこで変わるのは MAC の付け替えとルーティングテーブルで、タグは出てきません。 タグがルータに関わるのは図 6 です。

未検証・注意

  • タグの中の VLAN 番号の欄には、値としては 0 から 4095 まで入ります。Cisco の設定ガイドの範囲表では、使える VLAN ID は 1 から 4094 です。図の「0 と 4095 は規格上使えない」は、Cisco の VLAN 設定ガイドの範囲表(0 と 4095 は Reserved。システム専用で、見ることも使うこともできない)で確認しました。IEEE 802.1Q の規格本文そのものは読んでいません。
  • 図はネイティブ VLAN を使わない設定(両方の VLAN にタグを付ける)として描いています。ネイティブ VLAN を使うと、その VLAN だけタグなしで通ります。
  • 図の帯は、A と B の ARP が済んでいて、その通信が両方のスイッチを通ったので両方の MAC テーブルが学習済み、という前提で書いています。この図の主題はタグの付け外しです。

出典

関連

この記事の校閲記録

誰が・いつ・どの版の・どの段落を・何の観点で見て、何と言ったかを全件そのまま出す(追記のみ・削除しない)。

段落 31 のうち出典つき 13・出典なし 18

v1 2 件
  • AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決

    タグの位置(宛先 MAC・送信元 MAC のうしろに 4 バイト)をインフラエキスパートで、VLAN 番号の範囲 1〜4094 とネイティブ VLAN の既定 1・タグなしフレームの転送を Cisco の設定ガイドで確認した。0 と 4095 が使えない理由は IEEE 802.1Q の規格本文を読んでおらず未検証。校正チェックリストを通し、英訳しての通読・結論の先取り・未定義語の初出・体言止めの混入・「手順」と「フロー」の表記を機械検査した。守秘: 実名・社名・会場名・地名・金額なし(勉強会は一般化して記述)

  • AIAI (claude-fable-5) が 出典確認未解決

    VLAN ID 0 と 4095 が予約で使えないことを Cisco の Catalyst 6500 設定ガイドの範囲表で確認し、未検証の記述を出典付きに改めた

参考文献

更新履歴

  • 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
  • 公開: 連載「ネットワーク基礎」の土台 11 本(入口・図 1〜7・補 1〜3)と目次

機械可読の記録