弱者は決して許すことができない。許しは強者の態度である── ガンディー
ネットワーク

全二重の口に衝突が出たら、両端の打ち合わせを疑う

銅と光の届く距離、PoE、速度と全二重の打ち合わせ、show interfaces のカウンタ。通信が流れ出す前の「線そのもの」を 1 枚で見る別枠の記事

ぴぐおv1人の校閲なし(AI のみ)訂正なし
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目次

本編の図は、機器と機器が線でつながっている状態から始めています。

線そのものは、1 本の通信が通る道筋のどこか 1 か所に置けません。 通信が流れ出す前から効いていて、どの図にも同じように効くので、別枠の 1 枚にまとめます。

この連載は、ネットワークの言葉を 3 つの層に置いて読みます。 もの(物理か論理か)、結びつき(人が設定で付ける手動か、機器が学習する自動か、製造時に決まる固定か)、通信フロー(1 本の通信がそれらを順に通る道筋)の 3 つです。

この記事が扱うのは、そのうち「もの」の物理の側だけです。

登場するもの

銅のケーブル(ツイストペア)

物理のものです。 端の部品は RJ45 で、中は 2 本ずつ対にした線が 4 対、合わせて 8 本入っています。 対ごとによじってあるのは、ノイズを打ち消すためです。 1000BASE-T の最大の伝送距離は 100 m です。

カテゴリ

同じ RJ45 の見た目でも、線の品質に等級があります。 出典にした表では、1000BASE-T が UTP ケーブル 100 m、10GBASE-T が CAT6a/CAT7 で 100 m です。 機器の側でも、Catalyst 9300 のデータシートは 1000BASE-T のポートを Cat5E、マルチギガビットのポートを Cat5E/Cat6/Cat6A と書いています。 10G を 100 m 出すには Cat6A 以上が要る、というところまでが確認できた範囲です。

光ファイバ

物理のものです。 ガラスの芯に光を通すので、電気のノイズを受けません。 芯が太いマルチモードは、1000BASE-SX で 220 m から 1000 m、10GBASE-SR で 300 m です。 芯が細いシングルモードは、1000BASE-LX/LH で 10 km、1000BASE-ZX で約 70 km まで届きます。

SFP

物理のものです。 スイッチの口に差し込む小さな部品で、電源を入れたまま抜き差しできます。 光の型と銅の型があるので、同じ口を光にも銅にも使えます。

PoE(Power over Ethernet)

スイッチが LAN ケーブルの線に電気を乗せて、つないだ機器を動かす仕組みです。 スイッチは相手の回路に電気が来ていないことを確かめてから給電します。 802.3af は 1 つの口から 15.4 W まで、802.3at(PoE+)は 30 W までです。 Cisco の FAQ は「IP telephones and wireless access points (APs) are the most intuitive uses for PoE」と書き、802.3af の標準化で監視カメラなどにも広がったと続けています。

速度と全二重

両端は、速度と「同時に送受信できるか」を自動で打ち合わせます(オートネゴシエーション)。 両端ともオートネゴシエーションを有効にするか、両端とも無効にするかのどちらかにします。 片側だけ速度を手で決めると、その口のオートネゴシエーションは止まり、打ち合わせが成立しません。 その結果、片側が全二重・片側が半二重になる状態を duplex 不一致と呼びます。

カウンタ

show interfaces が数えている値です。 collisions は「送り終えるまでに衝突が起きた回数」で、半二重では普通に増えますが、全二重の口には出ないはずの値です。 late collisions は duplex 不一致を示すことがあり、半二重の側に現れます。 CRC は受け取った中身と計算が合わなかった数、runts は 64 バイト未満で CRC が壊れたフレームの数、giants は 1518 バイトを超えて FCS が壊れたフレームの数です。

別枠 A の図

図の左半分が線そのもの(銅・光・PoE)、右半分が口の状態(速度と全二重・カウンタ)です。

別枠 A:ケーブルと物理ポート(光と銅・PoE・衝突と duplex) 3 層の「もの(物理)」の中身を拡大した図。通信フローの前に、線そのものが正しくつながっているか 銅(ツイストペア・UTP) 身近な LAN ケーブル。端は RJ45。1 本で最長 100 m カテゴリ(Cat5e / 6 / 6A)で出せる速度が変わる(1G / 10G) 中で 4 対 8 本の線がよじってある(ノイズを打ち消すため) 同じケーブルで電気も送れる(→ PoE) 光ファイバ ガラスの芯に光を通す。ノイズに強く、遠くまで届く シングルモード:芯が細い。数 km〜数十 km。建物間・拠点間 マルチモード:芯が太い。数百 m まで。同じ建物・ラック内 スイッチ側は SFP という小さな差し込み部品で光と銅を選ぶ PoE(Power over Ethernet) スイッチが LAN ケーブルの線に電気を乗せて、相手の機器を動かす 無線 AP・IP 電話・監視カメラに、電源工事なしで給電できる スイッチは相手に「電気が要るか」を先に聞いてから流す(対応機器だけ) 図 19(無線 LAN)の AP は、この電気で動いている 速度と duplex(同時に送受信できるか) 両端は自動で「速度」と「同時送受信(全二重)」を打ち合わせる(オートネゴ) 片側だけ手動設定にすると打ち合わせが失敗し、片側が半二重に落ちる=不一致 半二重は「相手が話している間は待つ」方式。同時に話すと衝突が起きる 今のスイッチは全二重が普通なので、衝突が出ていたら不一致を疑う 衝突・エラーの見分け方(show interfaces のカウンタ) collisions / late collisions:衝突。全二重なら 0 が正常。増えていれば duplex 不一致か、古いハブ CRC / input errors:届いたが壊れていた。ケーブルの傷・長すぎ・コネクタ不良・ノイズ runts / giants:短すぎ・長すぎ。衝突の残骸や設定不一致 まず「線と口の状態(up/up か)」→「速度と duplex が両端で同じか」→「カウンタが増え続けるか」の順に見る

本編との接続

ネットワーク_01_土台の3層(/notes/nw-basics-01-baseline)は、PC とスイッチとルータを線でつないだところから始めています。 この記事は、その線の内側を開けて見た 1 枚です。

Cisco の FAQ は、無線 AP を IP 電話と並ぶ代表的な給電先として挙げています。 連載で無線 AP を扱うのは ネットワーク_19_無線LAN(/notes/nw-basics-19-wireless-lan)です。

CCNA では、単一モードファイバ・マルチモードファイバ・銅の比較が 1.3、衝突とエラーと duplex/速度の不一致の切り分けが 1.4 として挙がっています。

未検証・注意

  • 100 m を「ケーブル 1 本の長さ」と読むか「機器から機器までの配線全体の長さ」と読むかは、出典にした規格表では区別されていません。
  • Cat6 で 10GBASE-T が届く距離(55 m という数字)は、一次資料で確認できませんでした。確認できたのは「10GBASE-T は CAT6a/CAT7 で 100 m」という表記までです。
  • シングルモードの芯の太さは、読んだデータシートに数値がありませんでした。マルチモードの 62.5 μm と 50 μm は載っています。図の「芯が細い・太い」は、この差の向きだけを言っています。
  • 図にある「線と口の状態 → 速度と duplex → カウンタ」という見る順は、出典にした文書が定めている並びではありません。
  • 図の注にある「図 19 の AP はこの電気で動いている」は、連載の図 19 の記事が給電について書いていないので、この記事では断定しません。Cisco の FAQ が無線 AP を代表的な給電先として挙げている、というところまでが確認できた範囲です。
  • 全二重の口の collisions が 0 でないときの原因として、図は duplex 不一致と古いハブを挙げています。出典で確認できたのは「全二重では衝突検出が無効」「late collision は duplex 不一致を示しうる」までで、古いハブとの因果は確認していません。

出典

  • 勉強会での本人の観察(2026-09-13 実機ハンズオン。資料は非公開)
  • Cisco: Configure and Verify Ethernet 10/100/1000Mb Half/Full Duplex Auto-Negotiation — 「Auto-negotiation is an optional function of the IEEE 802.3u Fast Ethernet standard」「Both sides of a link must have auto-negotiation on, or both sides must have it off.」「Collisions are normal for interfaces configured as half-duplex, but must not be seen on full duplex interfaces.」「This can indicate a duplex mismatch among other things. For the duplex mismatch scenario, the late collision is seen on the half-duplex side.」runts は「smaller than the minimum IEEE 802.3 frame size (64 bytes for Ethernet), and with a bad CRC」、giants は「exceed the maximum IEEE 802.3 frame size (1518 bytes for non-jumbo Ethernet) and have a bad Frame Check Sequence (FCS)」
  • Cisco: Ethernet Collision Analysis — 「In full-duplex Ethernet, collision detection is disabled.」「When a collision is detected by a station after it has sent the 512th bit of its frame, it is counted as a late collision.」
  • Cisco: Configuring PoE(Catalyst 9300) — 「automatically supplies power to one of these connected devices if the switch senses that there is no power in the circuit」「IEEE 802.3at: The PoE+ standard increases the maximum power that can be drawn by a powered device from 15.4 W per port to 30 W per port」
  • Cisco: Power over Ethernet (PoE) Power Requirements FAQ — IP 電話と無線 AP が代表的な給電先で、802.3af の標準化で監視カメラなどにも広がった
  • Cisco: Gigabit Ethernet SFP Modules Data Sheet — SFP は「hot-swappable」、1000BASE-SX はマルチモード 62.5 μm で 220 m・50 μm で 500〜1000 m、1000BASE-LX/LH は「up to 550 m on any multimode fibers」「up to 10 km」、1000BASE-ZX はシングルモードで「approximately 70 km depending on link loss」
  • Cisco: Catalyst 9300 Series Switches Data Sheet — 1000BASE-T は「4-pair Cat 5E UTP cabling」、マルチギガビットは「4-pair Cat 5E, Cat 6, Cat 6A UTP cabling」
  • インフラエキスパート: Ethernet LAN の規格 — 二次資料。1000BASE-T は UTP で 100 m、10GBASE-T は CAT6a/CAT7 で 100 m、10GBASE-SR はマルチモード 300 m、10GBASE-LR はシングルモード 10 km
  • Cisco: CCNA 200-301 v1.1 Exam Topics — 「1.3 Compare physical interface and cabling types / 1.3.a Single-mode fiber, multimode fiber, copper」「1.4 Identify interface and cable issues (collisions, errors, mismatch duplex, and/or speed)」「1.1.h PoE」

関連

この記事の校閲記録

誰が・いつ・どの版の・どの段落を・何の観点で見て、何と言ったかを全件そのまま出す(追記のみ・削除しない)。

段落 32 のうち出典つき 15・出典なし 17

v1 1 件
  • AIAI (claude-fable-5) が AI 確認未解決

    オートネゴシエーションの定義・全二重の口に衝突が出ないこと・late collision が duplex 不一致を示しうること・CRC・runts・giants の定義は Cisco の Configure and Verify Ethernet 10/100/1000Mb Half/Full Duplex Auto-Negotiation で確認した。全二重では衝突検出が無効であることは Ethernet Collision Analysis、PoE の給電判定と 802.3af(15.4 W)/802.3at(30 W)は Catalyst 9300 の PoE 設定ガイド、無線 AP と IP 電話が PoE の代表的な給電先であることは PoE FAQ(URL を再取得して本文を確認)、SFP が活線挿抜でき光と銅の両方に対応することと 1000BASE-SX/LX/ZX の距離は SFP のデータシート、1000BASE-T が Cat5E・マルチギガポートが Cat5E/Cat6/Cat6A であることは Catalyst 9300 のデータシート、1000BASE-T と 10GBASE-T の 100 m と 10GBASE-T が CAT6a/CAT7 であることはインフラエキスパート(二次資料)で確認した。ケーブルと配線の課題が CCNA 1.3・1.4 に載ることは Cisco の試験範囲 PDF から抽出して確認した。Cat6 で 10G が届く距離、シングルモードの芯の太さの数値、カウンタを見る順序、図の注にある図 19 の AP の給電は確認できず未検証として本文に書いた。校正チェックリスト(英訳しての通読・結論の先取り・藁人形・未定義語の初出・比喩・体言止めの混入・表記揺れ)を通した。守秘: 実名・社名・会場名・地名・金額なし

参考文献

更新履歴

  • 連載のトピックを「ネットワーク基礎」から「ネットワーク」へ改名(32 本+目次。slug と URL は不変)
  • 公開: 連載「ネットワーク基礎」別枠 A〜D(ケーブルと物理ポート・構成の型・IOS のモード地図・QoS の工程)

機械可読の記録